日本は世界一の「地震大国」
地震大国の日本に住んでいる私達は、いつ大地震に見舞われるか分かりません。
起こってから慌てても遅いのです。
いつ大地震が起こっても対処できるように、今から対処することが大事です。
「治にいて乱を忘れず」です。
ご存じでしょうか?
なんと世界中で発生する地震の約20%が日本周辺で起こっているという事実を。
つまり、日本は世界一の「地震大国」なのです。
その世界一の地震大国の日本に住んでいる私達にとって「地震対策」は、正に生命線です。
それは東日本大震災で日本人全てが思い知ったことでしょう。
●阪神・淡路大震災 : 1995年1月17日/M7.3/死者6,434名
●新潟県中越地震 : 2004年10月23日/M6.8/死者68人
●東日本大震災 : 2011年3月11日/M9.0/死者15,894名・行方不明者2,561名(2016年3月10日現在)
わずか15年ほどの間に、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災と数年おきに大地震が発生していることからも、日本が地震大国だということははっきり認識できます。
また今後、東海・東南海・南海地震や首都直下地震がいつ起こってもおかしくありません。
今年2016年(平成28年)4月14日には、熊本地震が起こりました。
熊本県で合計50人の死亡(直接死)、関連死は102人が確認されています。
東日本大震災後、地震対策をするようになった方も多いでしょうが、残念ながら的を射ていない地震対策をしている方もいるようです。
最も多い地震対策が、水や食料などを詰めた非常持ち出し袋を用意するということでしょう。
これももちろん大切ですが、いざ地震が発生し非常持ち出し袋を持って逃げようとしたときに、家屋が倒壊しその下敷きになって死んでしまえば元も子もありません。
実は、地震対策で最も重要なことは別なところにあるのです。
地震対策には優先順位があります。
重要度と緊急度に従って最も優先順位が高い順に対策することが地震対策で最も重要なことなのです。
地震対策には優先順位があります。
重要度と緊急度に従って優先順位が高い順に対策することが地震対策で最も重要なことです。
●重要度と緊急度の優先順位:★★★(高)
1,建物の耐震性の強化
2,家具の転倒防止
3,防災グッズ・非常食を揃える
●重要度と緊急度の優先順位:★★(中)
1,寝室には大きな家具を置かない
2,室内を防災を考慮し整理整頓する
●重要度と緊急度の優先順位:★(低)
1,家族の連絡手段を決める
2,地震保険に加入する
それでは、重要度と緊急度に従って優先順位が高い順に見ていきます。
1●重要度と緊急度の優先順位:★★★(高)
1, 建物の耐震性の強化 / ★★★
大地震対策で最も重要なのが、自宅建物の耐震性の強化です。
そこで、自宅の耐震性のチェックをすることから始めましょう。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が、2000~2003年に実施した耐震診断によると、木造在来工法築3年以上経過した建物で、「安全6%」「一応安全20%」「やや危険24%」「危険50%」という結果が出ました。
つまり、全体の実に74%が危険またはやや危険だったのです。
「新耐震」建物や築3年の新しい建物でも、絶対安全という建物はありません。
また、気象庁が発表した震度階によると、「震度6以上の揺れでは、耐震性のある建物でも壊れる可能性がある」という驚きの結果を公表しています。
次に、マンション等の集合住宅に住んでいる方はどうすればいいのか?
「1981年(昭和56年)」という数字がポイントになります。
1981年(昭和56年)に、建築基準法に「新耐震基準」(6月1日新耐震設計法)が導入されました。
1981年(昭和56年)6月以降に着工のマンションは、新耐震基準に適合(新耐震建築物)の建物と判断できます。もちろん、手抜き工事等は除外します。
一方、1981年(昭和56年)5月以前に着工のマンションは、既存不適格建築物(旧耐震建築物)と判断できます。
つまり自分が住んでいるマンションが、1981年(昭和56年)以降着工のものなら、ひとまず安心、
1981年(昭和56年)以前着工のものなら、転居を検討するということです。
ただし、1981年(昭和56年)以降着工のマンションなら、絶対安心という意味ではありません。
あくまで「地震の震動および衝撃に対して、倒壊しまたは崩壊する危険性が低い」ということです。
ですから一つの目安と考えればいいでしょう。
自分が住んでいる家が、持ち家の一軒家であれ、マンションであれ、とても重要なことが一つあります。それは、自分が住んでいる地域の地盤の固さと活断層の有無です。
そこで、内閣府が発表している「全国ゆれやすさマップ(表層地盤のゆれやすさ全国マップ)」は、自分の住んでいる街の地盤の状態を一目で把握することができますので、必ずチェックして頂きたいと思います。
すでに持ち家を持っている方は、「全国ゆれやすさマップ」で確認し、もし揺れやすい地域に住んでいるの場合、地盤を強化する、家の補強をする、家具転倒防止の対策をするなど、地震の被害を最小限に食い止める地震対策をすることが重要になります。
また今後家を建てる、引っ越しを予定しているという場合は、なるべく揺れにくい地域を事前に確認するといいでしょう。
もし、揺れやすい地域で、さらに1981年(昭和56年)5月以前に着工のマンションに住んでいる場合は、経済面をクリアしてなるべく早く引っ越しすることをお勧めします。
自分や家族の命を守るために、地震対策でまずやらなくてはいけないのは、建物の耐震性の強化なのです。
日本の活断層の状況は、「文部科学省 地震調査研究推進本部」が公表している「主要活断層の評価結果」で確認することができます。
2,家具の転倒防止 / ★★★
自分の家やマンションが新しく耐震性が高い、地盤も問題なく活断層もないのであれば、家具や電化製品の下敷きにならないように、家具の転倒防止をすることが次に重要です。
大きくて重い家具や家電は、大きな地震では凶器になります。
ですから、家具の転倒防止をすることが、室内での地震対策では最も大切になるのです。
そこで家具の転倒防止の基本として知って頂きたいのは、重いものは下にして、軽いものを上にするということです。これだけを注意することで、家具は安定感を増し、転倒しにくくなります。
もちろん、これだけでは大きな地震では対処しきれないので、市販されている家具転倒防止グッズで、大地震でも家具が転倒しないようにしましょう。
3,防災グッズ・非常食を揃える / ★★★
大地震など大きな災害が起こった場合、家屋の倒壊や広範な火災、道路の破損などにより交通機関はマヒしてしまいます。
その結果、食料をはじめとした物資の配給や救助活動が滞り、稼働するようになるのに3日から5日ほどかかってしまいます。
国や自治体の「防災の手引き」では、食料備蓄の目安として「3日」を推奨しています。
しかし、3日で食料の配給や救助活動が軌道にのる保証はありません。
できれば1週間自力で生き抜けるよう、防災グッズ・非常食を準備するようにしましょう。
防災グッズを準備する上で、3つのポイントがあります。
1,非常持ち出し袋(リュック)に入れる
防災グッズをバラバラに置いておいては、緊急時に短時間でお持ち出すことができませんので、必ずひとまとめにして、両手を使えるリュックに入れて保管するようにする。
2,持ち出しやすい場所に保管する
押入れの奥などにしまっておいては、いざという緊急時に持ち出せませんので、玄関近くの部屋など取り出しやすい場所に置くようにする。
3,用途別に保管場所を分ける
家の中だけでなく、車のトランク、会社などに分けて保管するのが理想的です。
非常食を準備する上で、4つのポイントがあります。
1,食べるのに手間のかからないものにする
時間がない、場所がないなど、通常の食事はまったく違う状況下で食事をとらないといけないこともありますので、すぐ開封してすぐに食べられるようなものがベストです。
2,保存保管が簡単なものにする
大きな災害時には、ライフラインが完全にストップしてしまいます。
そのため、ストップしたライフライン下でも常温で保存できるものにしましょう。
また、ガス、電気、水がなくても食べられるものがお薦めです。
3,栄養バランスが取れた消化がいいものにする
非常時は体調が悪くなりがちなので、なるべく美味しく栄養バランスがとれたものにしましょう。
4,美味しいものにする
「非常時に味なんて」と思うからもしれませんが、非常時だからこそ美味しいものを食べると生きる力が湧いてくるものなので味がいいものを選びましょう。
●重要度と緊急度の優先順位:★★(中)
1,寝室には大きな家具を置かない / ★★
家具の転倒防止グッズで家具転倒対策をしたとしても、寝室には極力大きな家具は置かないようすることが大切です。
何故なら、就寝時万が一大地震が発生した場合、地震への対応が遅れる可能性が高いので、その結果、大きな家具があると倒れてきたときに下敷きになる危険性が高いのです。
そこで、なるべく寝室には大きな家具は置かないようにしましょう。
どうしても大きな家具を置かなければいけない場合は、家具と布団(ベッド)の間に中間の高さの家具や、それに相当する硬くて丈夫な物を置くようにすると効果的です。
家具が倒れてきたとしても、寝ている体の上に家具が直接倒れずに済むからです。
また、寝室にはロータンスを置くようにするのもオススメです。
2,室内を防災を考慮し整理整頓する / ★★
地震対策を考えた上で安全な室内とは、「極力物がない部屋」です。
阪神・淡路大震災では、死者の10%相当、約600人が「室内家具の転倒による圧死」しています。
大地震では、家具だけでなく、室内のあらゆる物が凶器と化します。
ピアノやテレビなどは大地震では「飛ぶ」ことが分かっています。
なるべく家の中には物は少ないにこしたことはありませんが、どうしても処分できない物、必要な物もあります。
そこで大切になるのが、整理整頓をすることです。
基本的なこととして、以下のことを注意しましょう。
1,重い物は下にして、軽い物を上にする
2,高いところには倒れそうな物は置かない
3,避難経路になる玄関への通路には、危険になる物は置かない
4,日頃から押入れや棚などの収納スペースに物を収納するようにする
5,ストーブやガスレンジの周りに発火する可能性がある物を置かないようにする
●重要度と緊急度の優先順位:★(低)
1,家族の連絡手段を決める / ★
大きな災害が起こると、電話は一般加入電話も携帯電話も規制により繋がらなくなります。
それは、東日本大震災ではっきり分かりました。
何故そうなるのかというと、安否確認の電話が被災地に一時的に集中することで、回線の処理能力が超え、回線がパンクしてしまうため、回線規制をするからです。
しかし、家族の安否は一刻も早く知りたいものです。
そこで、事前に災害が起こった場合を想定し、連絡手段を決めておくことが大切です。
災害時の連絡方法の手段をしては以下のものがあります。
1,家族共通の避難場所を決めておく
通信手段がどれもダメな場合、避難場所を決めておくことで、直接会うことができます。
2,共通の連絡先を決めておき、そこに自分の安否を連絡する
離れた他県の親戚などの緊急連絡先を決めておき、非常時にはそこに連絡することで、間接的に自分の安否や避難場所を知らせることができます。
3,「171」と「災害用伝言板」を使う
NTTの災害用伝言ダイヤル「171」は、一般加入電話・携帯電話・PHS・公衆電話から使用できます。
災害が発生したときに、自分の安否情報を171にメッセージとして残すことは、最も有力な安否確認方法です。
災害時、電話は繋がらなくてもメールは多少の時間的ズレがあっても、遅れて繋がることが多いです。そこで携帯メールサービス「災害用伝言板」に安否情報のメッセージを残すことも有効な手段です。
2,地震保険に加入する / ★
東日本大震災では、全壊した家屋約9万戸、半壊約3万5千戸、一部破損は27万戸にのぼります。
今後、日本全国どこに大地震が起こってもおかしくありません。
しかし何の備えもしていないと、災害により家という資産がゼロになるばかりか、ローンという負債が残り、さらに二重ローンで苦しむことになるかもしれません。
国の支援もある程度はありますが、金額的にはあまり頼りにはなりません。
そこで今のうちに、「地震保険」に加入しておくことが、災害後の生活を考えた上では理想的です。
何故なら、地震保険は自然災害から経済的に守ってくれる唯一の方法と言っても差し支えないからです。
まとめ
「後悔先に立たず」です。
首都圏で今後30年以内にマグニチュード7の地震が発生する確率は、70%と言われています。
その日が来る前に、今から準備しましょう。